The Blue COWbon Project

いきなりですがカギケノリって知ってますか? カギケノリってどんな海藻? カギケノリは白っぽく赤紫色をした紅藻類の1種で大きいものは30cm程まで成長します。非常に細かい毛状の小さな枝が密生しているのが特徴で水中ではそれがフワフワ揺れています。国内では千葉県南部以南、能登半島南部以南の海域、海外では太平洋・大西洋・インド洋の熱帯、亜熱帯海域の岩場やサンゴ礁上に群生しています。

天然のカギケノリを探せ!このプロジェクトはまずは本物のカギケノリが日本のどこに生息しているのかをリサーチするところから始まりました。しかしこの広大な海の中、一体どこをどうやって探せばいいのか・・そんな時に出会ったのが鹿児島県指宿市の山川町漁協の漁師である川畑友和さん。川畑さんが漁師の視点で発信されていた環境活動動画がきっかけでした。4月には川畑さんの漁場に群生しているカギケノリを研究用として少し採取しました。

ウシのゲップで地球が温暖化?!ウシは反芻動物で、その消化の過程で温室効果ガスであるメタンガスが発生しゲップとして大気に放出されます。1頭のウシから1日に排出されるメタンの量は約500ℓ日本の農林水産分野で1年間に排出される温室効果ガスの量は約4747万トン(2019年度)でなんとその約16%に当たる約756万トンがウシなどの家畜のゲップとして排出されたと考えられています。さらに、家畜のゲップに含まれるメタンガスは世界全体の温室効ガスの4%(CO2換算)を占めます︕たかがゲップとあなどるなかれ。メタンガスは、二酸化炭素の約25倍もの温室効果があります。

カギケノリでウシのゲップを減らす!ウシのゲップの削減以外の効果も!?オーストラリアの研究によると、ウシのエサにカギケノリを0.2%の割合で混ぜたものを90日間ウシに与えて、メタンガスの排出量を測定したところ、最大98%ものメタンガスが減りました。さらに同研究で、カギケノリを与えたウシの体重が、与えていないウシと比べて26%も増加し、肉の質には変化はなかったとの結果が報告されています。また別の研究では、20種類の様々な海藻がどれくらいメタンガスの発生を抑えるかを比較したところ、カギケノリが最もメタンガスの生成を抑えた(98.9%)という結果が得られています。ゲップはエネルギーの無駄遣い?!ウシは1日に約10kgの餌を食べますが、その食べたエネルギーの約10~20%が胃の中でメタンガスを作るのに費やされてしまいます。もしそのメタンガスの生成や大気への放出が抑えられたら・・ウシにとってはゲップに使っていたエネルギー分のエサ代の削減、環境にとっては温室効果ガスであるメタンガスの削減といいことだらけです!

日本のウシには日本のカギケノリを!海と陸での培養実験がいよいよスタート。陸上施設で小さなカギケノリをたくさん育てた後、2024年の年明けにも実際に海に移し、ちゃんと大きく育つかの検証実験をします。様々な条件下で実験を行い、最適な条件を探っていきます。天然のカギケノリでは到底量が足りず、無理に乱獲するようなことになれば生態系を崩しかねません。私たちは日本に自生する日本のカギケノリを海洋で養殖し、それを日本のウシたちに食べてもらうことが一番持続可能なやり方だと考えています。 カーボンクレジットの実現カーボンクレジットとは、「温室効果ガスの排出削減量を売買可能とする」仕組みです。カギケノリの養殖技術の開発及び牛の飼料開発を通じ、海藻養殖によるブルーカーボンクレジット、カギケノリの牛のゲップ由来メタンの削減効果によるカーボンクレジットの2つの側面からのカーボンクレジットの実現を目指します。カーボンクレジットが実現されることにより漁業者・畜産農家の方が温室効果ガス削減のための飼料の利活用が促進できるものと考えております。

Project Mission「持続可能な社会」から「豊かさを地球へ還元できる社会」へ国内でまだ確立していない「カギケノリ」の大量養殖の技術の確立と国産カギケノリを使用した飼料の開発により、ブルーカーボン及びウシのゲップ由来メタンの削減のダブルカーボンニュートラルを目指します。2050年までに日本が目指す「温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの実現」に向けて、社会と環境への貢献を目的としています。

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